2017年6月28日水曜日

なぜ今、チェルノブイリ法日本版条例の制定なのか--チェルノブイリ法日本版その可能性の中心--(6)原発事故の1度目の事故の意味(チェルノブイリ)

「原発事故は新しい形式の戦争です」。

こう強調したのはノーベル賞作家スベトラーナ・アレクシエービッチさんです。彼女は「チェルノブイリの祈り」とNHK番組でこう語りました。

チェルノブイリ事故は大惨事以上のものです。よく知られた大惨事とチェルノブイリとを同列に置こうとしても、それではチェルノブイリの意味が分からなくなります。‥‥ここでは過去の経験はまったく役に立たない、チェルノブイリ以後、私たちが住んでいるのは別の世界です。前の世界はなくなりました。でも、人々はこのことを考えたがらない。(今まで)こんなことを一度も深く考えたことがないからです。不意打ちを食らったからです 

‥‥
何かが起きた。でも私たちはそのことを考える方法も、よく似た出来事も、体験も持たない。私たちの視力、聴力もそれについていけない。私たちの言葉(語彙)ですら役に立たない。私たちの内なる器官すべて、そのどれも不可能。チェルノブイリを理解するためには、人は自分自身の枠から出なくてはなりません。感覚の新しい歴史が始まったのです

(「チェルノブイリの祈り」31頁)。



学者や政治家 軍人は放心状態でしたが、

村の老人たちの世界観は崩れませんでした。

人々は哲学者になりました。

誰もが不可解な現実を前に一対一で向き合うしかなかったから。

私たちがこれまで経験してきた恐怖は戦争に関することばかり。
でも、ここでは木が青々と茂り、
鳥たちが飛び回っていました。

しかし死がそこにあることを人間は感じました。
目に見えない 音も聞こえない 新しい顔をした死。

私は思いました。
「これは戦争だ。未来の戦争はこんなふうに始まる。

でも これは前代未聞の新しい戦争だ」
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アレクシエービッチの旅路」から「前代未聞の新しい戦争について」


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